神戸大学大学院 経営学研究科 社会人MBAコース公式同窓会

MBA Cafe

『2006年度生による優秀修士論文発表会』開催報告

 去る4月6日,神戸大学経営学研究科第一学舎306教室にて,「06年度入学生による優秀修士論文発表会」が開催されました.いくつかあるMBAcafeのイベントの中でも,毎年最も参加者が多く,盛り上がるイベントが,この優秀修士論文発表会です.今年も,約100名の方に参加いただき,大盛況となりました.
  発表者は,各ゼミの先生から推薦をいただいた選りすぐりの猛者たちです.論文の内容もさることながら、論文作成の苦労話を交えたすばらしいプレゼンで、MBAコース修了後時間がたって忘れかけていた熱い気持ちをまた思い出させてくれました。以下に、それぞれの発表の概要をご報告いたします。

※当日の講演資料は会員ページからダウンロードできます



■【栗木ゼミ】北川晋一さん: 「疫学研究のネットワーク形成について」
 北川様の論文作成は、2007年11月から開始して、2008年1月30日に完成ということで、約2ヶ月の期間で書き上げた苦労体験が印象的でした。
しかし、研究内容は、アクター・ネットワーク理論という高度な分析ツールを利用して、がん予防という問題認識を追及した熱意が感じられるものでした。また、栗木ゼミの皆様の支えが修士論文完成の裏側にあったことが印象的でした。

【栗木ゼミ】北川晋一さん

■【上林ゼミ】坪井淳さん: 「ホワイトカラー中途採用者の効果的なコア人材化の要件に関する一考察」
 坪井様は、中途採用者が企業においてコア人材に育成すべきではないかという問題意識に基づいて、インタビュー調査と質問表調査を実施することで、中途最小者の自社理解や上司の人脈つくりの支援が必要であるということを明らかにされました。

【上林ゼミ】坪井淳さん

■【古賀ゼミ】橋本敏行さん: 「企業における現金保有の決定要因」
 高橋様の研究は、企業はどのくらい現金保有をすべきかという財務部所属ならではの問題意識から、サンプル数1370社もの定量分析を通して、配当には現金蓄積に対するよく性機能がある反面、自社株買いにはその効果が薄いという実務的示唆のあることを明らかにされました。
 また、後日談としてその後シドニー大学やオーストラリア国立大学で発表を行ったそうです。

【古賀ゼミ】橋本敏行さん

■【黄ゼミ】桂武弘さん: 「観光素材におけるサービスの可視化」
 国内の旅行パッケージ商品を扱っている立場から、魅力ある観光地を創出するにはどうしたらよいかという問題意識を、サービス・マーケティングの視点から、ディズニー・リゾートと京都市という2つの観光地の成功事例をケース分析することで、サービスを可視化することが価値実現につながることを明らかにされました。
 また、インタビュー実施に関して、具体的なアドバイスをしていただきました。論文審査会においては、最後まで立っていることが重要とのアドバイスがありました。

【黄ゼミ】桂武弘さん

■【松尾ゼミ】田中克実さん: 「医薬品ライフサイクルマネジメントのマップによる解析評価 -Product-Generation Patent-Portfolio Mapの提案-」
 田中様の研究は、研究開発型製薬会社における製品開発マネジメントに関する問題意識から、事例研究を通じて医薬品の価値最大化を目指した戦略的なライフサイクルマネジメント(PLCM)の実効性を明らかにされました。

【松尾ゼミ】田中克実さん


引き続いて、神戸大学経営学研究科の小川進教授より、
基調講演として「マーケティング2.0」というタイトルでご講演をいただきました。

神戸大学経営学研究科 小川進教授

神戸大学経営学研究科 小川進教授

 10年一昔といいますが、マーケティングを取り巻く状況でこの10年で最も変わったものは何か?小川先生は、世の中に流れる情報だとおっしゃいます。一般的には、情報はたくさん集めれば集めるほど、正しく世の中を知ることができて正しい判断をすることができる、と考えられています。しかし本当にそうでしょうか。

 例えば、地方のお土産の事例を見てみると、必ずしも大規模な広報活動をおこなって情報発信をしているわけではありません。でも、口コミが広がるような仕掛けをしたり、ツアー広告とうまくタイアップしたりなど、必要なところに必要な情報が伝わるように工夫している。情報があふれている時代には、お客さんは自分にとって必要な情報しか欲しくない、と思っているのかもしれません。

 他にも、これまでの我々の常識を覆すようなお話を色々と聞かせていただきました。例えば、某企業の製品開発の歴史を見ると、やたらと新製品を乱発している。このようなデータを見ると、つい「これだけの失敗を重ねてきたのか」という見方をしてしまいます。しかし、実は、売上の基礎を支えるモデルの販売は維持したまま、新製品を意図的に(そして効率的に)乱発することで、市場における鮮度を維持しているのです。おなじデータでも見方によって、異なる現実が見えてくるというわけです。

 Web2.0というキーワードの下、WWWにおけるコミュニケーションのパラダイムが変わり始めている、ということが言われています。「マーケティングもそうなのかもしれません」と、先生はおっしゃいます。歴史を振り返ると、「あ、ここで時代の流れが変わっているな」ということはわかります。しかし、時代の流れの最中にいるときに「今、時代の流れが変わりつつある!」と認識するのはとても難しいことです。

でも、賢者は歴史に学ぶことができます。「自分たちは、今どういう時代に生きているのだろう」と、改めて色々なことを考えさせられる基調講演でした。


 以上の発表会・講演会のあと、場所を阪急六甲駅前「にじゅうまる」に移し、懇親会を開催しました。事務局の予想を超える40名以上の参加をいただき、大盛況となりました。修了生と現役生、入学年度の異なる皆様の、交流の場となったのではないでしょうか。



 冒頭にも書いたとおり、MBAcafeのイベントの中でも「優秀修士論文発表会」はもっとも盛り上がるイベントのひとつです。当日、記入いただいたアンケートでも、現役生からは「論文作成の参考になった」というご意見を多数いただきました。一方で、事務局の運営についてもいくつかご意見もいただきました。事務局としても、これらのご意見を参考に、より良いイベントを企画していきたいと考えております。皆様のご参加をお待ちしております。

『2006年度生による優秀修士論文発表会』

(報告:間渕、宮尾)

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